あるめっき屋さんから「アルミに特殊なめっきを施した射出成形用金型を製作したので,試験的にこの金型で樹脂成形を行って欲しい」との依頼がありました.
こちらは通常の生産業務とは少し違った業務になります。
ある試作の金型を使用して製品の射出成形を行い、金型の磨耗度を調べる、実験的業務になります。
我が社の場合、取り決められた製品があるわけではないので、こういった特殊生産業務にも対応することができます。
ただし、金型の磨耗度を調べるための検査装置等はありませんので、あくまで生産業務だけ請け負っています。
アルミ金型の利点は以下のとおりです.
アルミ金型の利点:切削加工が容易.材料費が鋼材より安価.放熱性が良い.
今回試作に用いる金型はアルミに鉄系のめっきを施したもので,従来のアルミ金型に比べ耐久性を大幅に向上させています..
この金型で成形を行い,ショット数によってキャビティ,コアの磨耗度を調べる実験的試作を行いました.
実験方法
汎用プラスチックの中でも金型に対して攻撃性のあるガラス繊維含有樹脂(GF30%+ABS)を用いて連続成形を行いました.
特殊めっきを施したアルミ金型と同時にアルミ素地の金型も同条件で試作しました.
実験結果
約7万ショット成形を行いました.アルミ素地のキャビティ,コアには磨耗(表面やエジェクタピンホールなど)が見受けられましたが,めっきアルミ金型には磨耗は見受けられませんでした.
ショット数がまだ現場の生産数ほどではないにせよ,我々の経験から感触として通常生産に使用できる金型だと思いました.
これから現場で実績を挙げて,金型の一分野として成長していくのではないかと考えております.
今後の発展
アルミ金型と鉄金型を比べたとき,アルミ金型の利点の一つに伝熱の良さが挙げられます.単純に金型が樹脂を冷却する役目をしていると考えたとき,アルミ金型は鉄金型より早く樹脂を冷却できると考えられます.冷却時間を短縮できるので,1サイクルにかかる時間を短縮できると考えられます.
現在はプレゼン配布用の名詞入れを成形するめっきアルミ金型を預かっております.
いくつか配布用に生産を行いました.

表面には梨地です.アルミで梨地面を出し,表面に鉄めっきを施したものです.細かな彫刻にも鉄めっきは対応できるようです.
上のように成形した名詞入れの部品を下のように組み合わせて使用します.
※注意
ここに掲載した特殊めっきアルミ金型は取引先のめっき屋さんに知的財産権があります.
ご興味のある方はご連絡下さい.
9月9日追記・はっきりとしたことは言えませんが,アルミ金型の場合,放熱性(成形品の冷却性)が良いためか,成形品に材料のひけ・反りなどが見られません.
成形スピードを上げれば上げるほどひけや反りは出やすくなるのですが,現実験ではそういった不良は出ていません.成形性の良さという利点もあるのかもしれません.